風、秋冬野菜不足、年内まだまだ低温・・・

2017.12.20

10月下旬に上陸した台風21号と11月後半の低温の影響で、秋冬野菜の出荷量が伸び悩んでいる。ダイコン、キャベツ、レタス、ナスといった主力品目で影響が目立つ。関東や西日本の産地では、暴風雨による畑の冠水や農業用ハウスの倒壊などの被害が尾を引き、11月後半からの低温も加わり生育が鈍い。年内は平年より寒い日が続く見通しで、野菜の出回り不足は当面続きそうだ。

尾を引くダメージ生育回復せぬまま 主産地の高知、千葉

冬に出荷される野菜の主産地、高知県では台風21号により農業用ハウスの倒壊が相次いだ。高知県園芸連によると、今年の作付けを断念した農家もいるという。特に、ナス、キュウリ、ニラなどの出荷が増えない状況で「出荷量は全体で2割ぐらい少ない状況」(園芸振興部)にある。
同県では加温ハウスによる栽培が盛んなことから、低温による生育不良は最小限に抑えられるものの「日照不足で花が落ちて収穫量が上がらない。しばらく出荷量は伸び悩む」(同部)と、頭を悩ませている。

台風21、22号による農林水産業の被害総額が約46億円と、過去10年間の台風被害で最大となった千葉県。JAちばみどり管内も強風に見舞われ、特に塩害を受けた高台の沿岸部で大きな影響が出た。ダイコンの生育が遅れ、キャベツも小玉傾向となっている。

JA営農センター銚子管内では台風や低温の影響で生育が1、2週間遅れており、11月のダイコンの出荷量は前年比53%、キャベツは79%となっている。同センターによると、2月ごろまで影響が出るとみられる。
こうした中、農家は除塩や殺菌剤による対策を実施し、収穫が回復に向かうよう取り組んでいる。ただ今後、低温が続けば「生育にブレーキがかかってしまう。霜が発生すると傷んで収穫までたどり着けない」(JA営農部)と懸念する。
台風や低温の影響は市況にも出ている。12月1日の野菜主要14品目の日農平均価格を見ると、ダイコンは1キロ114円と平年比(過去5年の平均価格)と比べ187%、ハクサイ同95円(176%)、キャベツ同109円(145%)、レタス同501円(259%)、ナス同559円(131%)と、平年より高値で推移している。

農水省によると、10月下旬に襲来した超大型で非常に強い台風21号による農業被害は45都府県で347億7000万円(11月30日時点)。政府は21号による豪雨被害を激甚災害に指定した。
低温傾向は今後もしばらく続きそうだ。気象庁は1日、東日本と西日本で11月中旬からの低温がさらに2週間ほど続くとの見通しを発表した。偏西風が南に蛇行して強い寒気が流れ込むためだ。

12月は、気温が北日本、東日本、西日本で平年より低く、特に12月前半は日本海側を中心に降雪量がかなり多くなる恐れがある。1、2月の気温は北日本は平年並みか高い、東日本以西はほぼ平年並みと見込む。

11月は低温と、後半の降雪による日照不足が顕著だった。平均気温は平年と比べ、北日本と東日本で0・4度、西日本は0・6度下回った。沖縄・奄美は0・7度高かった。寒気の影響で、中旬は北日本の広い範囲や、東日本の日本海側を中心に平野部でも雪が降った。下旬は北日本、東日本の日本海側を中心に雨や雪の日が多かった。

同庁は「今年は冬の訪れが早く、暖冬が続いた過去2年と比べて寒い冬となりそう」(気候情報課)とみる。