新型コロナウイルスが市場に与える影響
2020.03.18
新型コロナウイルスの騒ぎで、訪日外国人客が激減、
さらにホテルの宴会需要なども大きく減り、魚介類などの高級食材が売れない状況が続いている。
豊洲市場関係者は口々に「東日本大震災やリーマンショックの時よりもひどい」と断言。
仲卸からは資金繰りに関する不安の声も出ている。
日本の水産物や農産物は日本食ブームも相まって海外では人気。
「外国人が買ってくれていたから、相場が高く維持された」側面もあったが、
新型コロナ流行で、その輸出需要が激減している。
理由の一つは新型コロナが蔓延している国での外食需要の減少。
中国や香港をはじめ、和食店からの注文がぱったり途絶えた。
国内のインバウンド需要や、日本人の宴会需要なども激減。
こうした疑心暗鬼が外食需要をますます悪化させていく。
今回のコロナ騒動で、特に厳しいのは高級食材である。
自宅駅近くのスーパーや飲食店はいつもと変わらない人出なのに、都内や観光地ではさっぱり。
そんな状況でひときわ影響を受けるのが高級魚なのだ。
ウニやカニ、マグロといった高級食材の価格について、豊洲関係者からは
「あまり下がっていないものもあるが、おおむね3割ほど下落している」
という声が聞かれる。
企業が軒並み経費削減に走った2008年のリーマンショックや、
放射能問題と被災地への配慮で自粛ムードが広がった2011年の東日本大震災の時と比べても、
「今回の方が影響は大きい」という見方の人もいる。
水産卸関係者も同様の感触を持つ。
「すでに水揚げしてしまったものは、安くても売るしかない。しかし産地では、あまりの安値に休漁するところも増えている」。
福井県では越前ガニの休漁がニュースになったが、
ヒラメなども「荷主が漁師の元に取りに行っても魚が出てこない」という状況があるという。
独自の取り組みも見られる。札幌商工会議所は10日、ホームページに「緊急在庫処分SOS!」と題した掲示板を立ち上げた。
新型コロナの影響で売れなくなってしまった魚介類や加工品、お菓子、農産物などが紹介されている。
「ぜひ、SNS等での拡散もお願いいたします!」と書かれているように、
SNSが力を持つようになった時代ならではの販路といえる。
外食や観光旅行は気が引けても、ネット通販で「お取り寄せ」することで、産地や市場を応援できるかもしれない。